梅酒は甘酸っぱくて飲みやすいお酒。つい飲み過ぎてしまって翌日は酷いことに・・・なんて人も多いことでしょう。
市販の梅酒のアルコール度数は思いのほか高め。
_市販梅酒はラベルに成分が書いてあるので一目瞭然。安心です。
例えば「アルコール度数が20度か。かなり高めだから控えめに飲もう」などとセーブすることもできます。
じゃぁ、自家製の梅酒だと?
自家製梅酒のアルコール度数を知りたい!
算数と理科なお話し。
下記の標準的なレシピで梅酒をつけた場合、出来上がりのアルコール度数はどうなるのでしょう?
- ホワイトリカー(35度) 1.8ℓ
- 青梅 1kg
- 氷砂糖 1kg
実際に色々と作って飲んだ感じでは「元のお酒のアルコール度数の半分くらい」になっている印象がありますが、今回はちょっと計算で求めてみます。
そもそもアルコール度数って何?
気温が摂氏15度のとき、その液体に含まれるアルコール(エタノール)の割合です。
ちなみにお酒のパッケージでは、例えばアルコール度数として「18度」と書かれていたり「18%」と表記されていたりしますが、両者は同じ意味です。
アルコール度数が15度(=15%)のお酒であれば、1リットル中に0.15リットルのエタノールが含まれている訳です。
自家製梅酒のアルコール度数を決定する要素
自家製梅酒のアルコール度数を求めるために 必要な要素は大きく以下の2つです。
- エタノールの容量
- 液体としての梅酒の容量
コレさえ分かれば後は算数です。
エタノールの容量
酒税法では、梅酒に使っても良いお酒のアルコール度数は「20度以上」と定められています。
これは、追加発酵により新たなエタノールが生成されないからだそうです。
逆に言えば、清く正しく梅酒用のホワイトリカーなどを利用するならば、そこに入っていたエタノール容量が増えることはないという事です。
アルコール度数が「35度」のホワイトリカー1升(1,800ml)に含まれるエタノールのは「630ml」と計算されます。
1,800 (ml) × 0.35 = 630 (ml)
液体としての梅酒の容量
梅酒にお酒以外に「青梅」と「氷砂糖」を投入します。青梅には果汁として水分が含まれており、氷砂糖は溶ける事で、お酒の体積を増やします。
梅果実に含まれる水分量は?
青梅(100g)に含まれる成分は、水分(90.4g)、炭水化物(7.9g)、タンパク質(0.7g)、脂質(0.5g)・・・です。
(からっからに乾かした梅のタネは驚くほど軽いので・・・多分、種こみだと思う)
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重量の9割が「水」でできているとすると、青梅1kgに含まれる水分量は「900ml」と計算されます。
1,000 (g) × 0.9 = 900 (g)
900 (g) = 900 (ml)
氷砂糖が溶けた事で増える体積は?
今ひとつハッキリしなかったので、実際に試してみました。
ブツを用意。
※氷砂糖は溶けるまでに時間がかかり過ぎるので上白糖で代用。成分は共に「ショ糖」なのでOKとしましょう。
溶けたら同じだし。
まず、きっちり計る。
180mlのホワイトリカーが入った計量カップに、上白糖を100g 投入。
かなり底に溜まっていますが・・・混ぜまくって溶かします。
砂糖、めっちゃ溶けました。
結果。ホワイトリカー(180ml)に対して、ショ糖(100g)を溶かすと、お酒の体積が増えて「240ml」になりました。
このことから、一番メジャーなホワイトリカーを使う場合、氷砂糖100gを投入するごとにお酒の容量は60ml増えると思われます。
氷砂糖 1kg ならば 600ml。
蒸発によるアルコール度数の変化は?
無視して良いんじゃないかな?
一応、水とアルコール(エタノール)の混合物 = つまりお酒の場合、基本的にはエタノールの方が蒸発しやすいです。
これは、それぞれの蒸気圧が関係します。普通の大気では水蒸気は結構含まれていて、エタノール蒸気はほぼゼロです。
蓋が開いていればアルコール分が率先して飛んでいきますが、基本的に貯蔵瓶は密閉されていて1年経っても(ほぼ)蒸発はしていません。
という事で自家製梅酒のアルコール度数
- ホワイトリカー(35度) 1.8ℓに含まれるエタノールの容量は「630(ml)」
- 梅酒としての液体全体の容量は、ホワイトリカー分の「1800(ml)」に青梅1kgが持つ水分「900(ml)」と、氷砂糖1kgが溶けることで増える「600(ml)」を足して「3,300(ml)」
よって、出来あがった梅酒のアルコール度数は「19%」と求められました。
630 (ml) ÷ 3,300 (ml) = 0.1909 → 19%
元のホワイトリカーが「35%」なので、結構下がっていますね。
最初に書いた『アルコール度数は元のお酒の半分くらいになっている気がする。』は、そこそこ的を射ていました!
ちょっと気になること
本当に、蒸発する以外でエタノールの量は減らない?
長期貯蔵している中で、梅の実に含まれる「酸」やら糖と化学反応して、エタノールが分解されたりしないのかな?
教えて!化学に詳しい人。