
梅酒は合法です。心配無用です。
が、いくつか守らなければならないお約束がありますので、とりあえず3つ押さえておきましょう。
- アルコール度数【20度】以上のお酒を使う
- 【梅の実】を漬ける
- できあがった梅酒は【家庭内で楽しみ】そして【売らない】
基本的に、これを守っていれば問題ありません。(以下、国税局のQ&A参照)
一応、関係しそうな法律などを。
まず梅酒の合法・違法は「酒税法」が関係します。
知らず知らずのうちに(悪意の有無は関係なく)密造酒を作ってしまう場合があるので注意が必要です。
酒を造る→(税金を支払う義務→税金を支払わない)→違法
普通の人は、酒を造ってはいけません。
酒(酒類)の定義は「アルコール分一度以上の飲料になるもの」です。
下記参照。
酒税法 第一章 総則
(課税物件)
第一条 酒類には、この法律により、酒税を課する。
(酒類の定義及び種類)
第二条 この法律において「酒類」とは、アルコール分一度以上の飲料(薄めてアルコール分一度以上の飲料とすることができるもの(アルコール分が九十度以上のアルコールのうち、第七条第一項の規定による酒類の製造免許を受けた者が酒類の原料として当該製造免許を受けた製造場において製造するもの以外のものを除く。)又は溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む。)をいう。
2 酒類は、発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類及び混成酒類の四種類に分類する。
一般家庭で”イチ”から酒を造ることはないと思いますが、酒税法では下の方程式をぶっ込んできます。
酒類 + 水以外の物品 = 新たな酒 < e.g. ホワイトリカー + 青梅 + 糖類 = 梅酒 >
酒に水以外の何かを混ぜることを「混和」といい、混和後のものが酒類(アルコール度数1%以上?)の場合は「お酒を造った」と扱われます。
酒税法 第八章 雑則
(みなし製造)
第四三条 酒類に水以外の物品(当該酒類と同一の品目の酒類を除く。)を混和した場合において、混和後のものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなす。
混和には色々なパターンがあり細かく取扱いが定められているわけですが、梅酒についても「新たな酒類を製造」してしまっている訳で、上記だけ読むと違法です・・・
が、そこは昔から文化として定着していた梅酒。例外的にお目こぼししてもらってます。すなわち「酒類」と「酒類以外の物品」を「自ら消費するために」混ぜる場合は、混和(=新たに酒類を製造したもの)と見なされません。(下記 11項参照)ただし、この例外を適用するお酒は販売しちゃダメです。(下記12項参照)
酒税法 第八章 雑則
(みなし製造)
第四三条 酒類に水以外の物品(当該酒類と同一の品目の酒類を除く。)を混和した場合において、混和後のものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなす。<1項~10項 省略 ※色々な混和のパターンと、それぞれの取扱いが示されています>
11 前各項の規定は、政令で定めるところにより、酒類の消費者が自ら消費するため酒類と他の物品(酒類を除く。)との混和をする場合(前項の規定に該当する場合を除く。)については、適用しない。
12 前項の規定の適用を受けた酒類は、販売してはならない。
ちなみに「自ら消費するため」の「自ら」には「本人と同居親族」までが含まれるようです。
下記参照。
酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達 第43条 みなし製造
「自ら消費するため」の範囲
「自ら消費するため」には同居の親族が消費するためのものを含むものとし、他人の委託を受けて混和するものは含まないものとする。
(注) 「自ら」には、法人は含まないものであるから留意する。
上記をそのまま解釈すると・・・
仮に無償であっても、一人暮らしの子供やら、行事で集まる親戚やら、同僚・友達に手作り梅酒をふるまうのは違法と読めます。
ただこれは「国民生活の現実と乖離」してしまうため、「親類、知り合い同士で、善意の贈答行為」については、みなし製造としないという見解が、下記のとおり衆議院で出ています。
下記参照。
第166回国会 389 酒税法に関する質問主意書
質問
六 酒税法第四十三条第十一項に規定する「消費者が自ら消費する」とは、同居の親族が消費することを含むとの解釈があるようだが、これは妥当だと考えるか。また、これ以外の解釈はあるのか。
七 家庭内で年間に数リットル程度を作る果実酒は国民に広く浸透していると思われる上、消費者が自ら消費する以外にも、親類、知り合い同士で、善意の贈答行為が日常的に行われていると推測されるが、酒税法第四十三条第十一項に規定する範囲だけが、みなし醸造の適用除外というのは国民生活の現実とは乖離した規定であると思うが、如何か。
八 仮に、「国民生活の現実と乖離していない」との見解であるなら、家庭でいわゆる「果実酒」を作り、知人などと贈答しあう場合も、醸造免許が必要だと解すべきか。答弁
酒税法(昭和二十八年法律第六号)においては、酒類に他の物品を混和することにより、適用される税率が異なる酒類に該当することとなる場合も想定されるため、税負担の公平性や酒税収入の確保の観点から、酒類に他の物品を混和する行為も原則として酒類の製造とみなし、酒類の製造免許を受けなければならないこととしている。
しかしながら、同法第四十三条第十一項において、「政令で定めるところにより、酒類の消費者が自ら消費するため酒類と他の物品(酒類を除く。)との混和をする場合」には、酒類の製造とはみなさないこととしており、この場合には、酒類の製造免許を受ける必要はない。
また、同条第十二項において、同条第十一項の適用を受けた酒類は、販売してはならないこととしているが、当該酒類を無償で知人等に提供することは、同条第十二項に規定する販売には当たらず、同項の規定に違反するものではないと考えている。
それらを踏まえて、
アルコール度数が20度未満の酒類をベースに使ってはいけません。ワインや日本酒などの醸造酒は、ほぼ20度未満なので注意が必要です。
下記参照。
酒税法施行令 第八章 雑則
(みなし製造の規定の適用除外等)
第五十条<1項~13項、15項 省略 ※酒税法 第四三条の補足説明がされています>
14 法第四十三条第十一項 に該当する混和は、次の各号に掲げる事項に該当して行われるものとする。
一 当該混和前の酒類は、アルコール分が二十度以上のもの(酒類の製造場から移出されたことにより酒税が納付された、若しくは納付されるべき又は保税地域から引き取られたことにより酒税が納付された、若しくは納付されるべき若しくは徴収された、若しくは徴収されるべきものに限る。)であること。
二 酒類と混和をする物品は、糖類、梅その他財務省令で定めるものであること。
三 混和後新たにアルコール分が一度以上の発酵がないものであること。
「糖類、梅その他財務省令で定めるもの」は漬けてもOKです。
有名(?)なお酒の主原料になっているものは軒並みアウトっぽいですが、ブドウ以外のフルーツはOKですね。野菜類やらキノコ類も。竜舌蘭(テキーラの原料)やリンゴ(シードルの材料)もOK。
下記参照。
酒税法施行規則 第十三条
<1~2項、4~8項 省略 ※酒税法施行令 第五十条の補足説明がされています>
令第五十条第十四項第二号 に規定する財務省令で定める酒類と混和できるものは、次に掲げる物品以外の物品とする。
一 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりやん、きび、ひえ若しくはでんぷん又はこれらのこうじ
二 ぶどう(やまぶどうを含む。)
三 アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす
違反すると・・・とりあえず梅酒瓶ごと没収されます・・・
下記参照。
酒税法 第九章 罰則
第九章 罰則
第五十四条 第七条第一項又は第八条の規定による製造免許を受けないで、酒類、酒母又はもろみを製造した者は、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 前項の犯罪に着手してこれを遂げない者についても、同項と同様とする。
3 前二項の犯罪に係る酒類、酒母又はもろみに対する酒税相当額(酒母又はもろみについては、その他の醸造酒とみなして計算した金額)の三倍が百万円を超えるときは、情状により、前二項の罰金は、百万円を超え当該相当額の三倍以下とすることができる。
4 第一項又は第二項の犯罪に係る酒類、酒母、もろみ、原料、副産物、機械、器具又は容器は、何人の所有であるかを問わず没収する。
5 第一項又は第二項の行為に係る酒類については、当該酒類を製造した、又は製造に着手してこれを遂げない者から、直ちにその酒税を徴収する。ただし、前項の規定により没収された酒類には、酒税を課さない。
6 第一項又は第二項の行為に係る酒母又はもろみはその他の醸造酒とみなし、当該酒母又はもろみを製造した者から、直ちにその酒税を徴収する。ただし、第四項の規定により没収された酒母又はもろみには、酒税を課さない。
清く正しく梅酒ライフ!